顧客データこそ最強の資産だが、今後は規制が入る?

「顧客データ」こそが最強にして最大の資産と考えられています。

江戸時代の商人は顧客名簿を重宝していました。

顧客名簿は特殊な糊でできており、火事になると井戸に放り込んだのです。

名簿は特殊な糊でできているため、水に溶けません。

そして、その顧客名簿を元にまた顧客を訪ね、商品を販売していくわけです。

これが真実かどうかはわかりません。

が、顧客名簿=顧客データが重要であることを示唆する大切な逸話です。

 

商品は燃えてなくなるかもしれません。

お金はインフレで目減りするかもしれません。

が、顧客データとはいついかなる時もマネタイズが可能な「資産」であり、これらと比較して、いつの時代も最も価値があると考えられているわけです。

 

さくのが好きな小説のシーンの一つに堂場瞬一氏の小説『グレイ (集英社文庫)』のものがあります。

「これからの世の中を渡っていくのに一番大事なのは情報だ。金ではない。金は情報から生み出される副産物のようなもので、そこに執着すると失敗する。」(『グレイ(堂場瞬一著書・集英社文庫)』p427より引用)

まさに顧客データの価値を表している貴重なシーンです。

 

さらに、顧客データが他の資産と違ってメリットがあるのは、「課税されない」こと。

顧客データを1万件持っていようが、10万件持っていようが、そこに課税はされません。今のところは。

そして、この顧客データは資産としてマネタイズが可能です。

顧客データそのものを販売することもできるし(現代社会では違法性が問われる)、顧客データを元にDMなどを送れば一定数が買ってくれればキャッシュに生まれ変わります。

まさに現代の「金の卵を産むガチョウ」です。

にも関わらず、顧客データには課税がされないからお得です。

であれば、現代最強の戦略は広告など顧客獲得費用を使って経費にし、かつ、顧客名簿などの顧客データを獲得し、さらにそこから利益を得ることが経営の王道になります。

さらにその利益を再投資し、顧客データの獲得費用に回せば、半永久的に課税を繰り延べしつつ、「見えない資産」を増やしていていくことが可能だからです。

 

さらに付け加えてメリットがあるのは、顧客データは磁石のように「増殖」していくことです。

いわゆるネットワーク効果。

使って便利であれば、口コミや紹介が起き、顧客データはアメーバのように急速に増殖していきます。

Googleやfacebook、amazon、InstagramやLINE等が急成長した理由はここにあるのです。

これが参入障壁となり、新規参入がどんどん難しくなっていく要因となります。

顧客データを持つIT企業は「課税されない資産」が膨れ上がり、さらにネットワーク効果で増殖し、儲かって儲かって仕方がない状態が続いているのです。

 

ところが、それに社会が不満を持ち始めました。

近年、欧州を中心に不満が勃発し、「このままじゃいかんだろ」ということでメスを入れることに目が向いているのです。

今年施行されたGDPR法もその一つ。

顧客データを持てば持つほど、「漏洩」のリスクが増える。

だったら、たくさん持っている企業に「漏洩した時の罰則」を重くすることで、追い詰めようという魂胆です。

 

さらに今後も「顧客データ」という見えない資産、課税されない資産を持っている企業を苦しめよう動いています。

データ寡占を独禁法で規制、政府検討 GAFA念頭(日経新聞2018/11/3より)』

今朝の日経新聞にも載っていたが、これなどまさにGAFAなど顧客データを大量に保有して儲けている企業を苦しめようという動きです。

 

私たち経営者がこの動きを元に注意すべきは、「顧客データ有利経営」の風向きが変わる可能性を考えておくこと。

例えば、大量に持つことのリスクが増大する(罰金が高くなる等)のであれば、今後は「質重視」で考えていくなど。

要らないリスクは増やさない方が賢明になります。

 

今後はデータ漏洩のための「保険」や「管理・メンテナンス」のコストが増大することも考えられます。

経営者としてそれらのコストの見積もりは多めに考えておく必要があるでしょう。

また、拡大類推して考えていくと、最悪、「顧客名簿1件について●円の税金」「ドメイン1つにつき●%税」「ウェブサイト1ページに対して課税する」なんてことが起きるかもしれません。

そのために経営者は常に情報取得のアンテナは立てておかなければならないのです。