以前から「仮想通貨」の投資は「税制面」から考えると割りに合わないとお伝えしてきました。またファイナンスの理論からもおいしくないと説明してきました。
ただし、どうしても、仮想通貨投資をやりたいのであれば、せめて「法人でやった方がいい」とクライアントさんなどにお伝えてきました。
なぜ、個人ではなく法人で仮想通貨投資をしたほうがいいのか?
理由は、損をした時に他の利益と合算できることと(法人なので当たり前ですが)、損失の繰越を9年間することができるからです。
しかしながら、この法人での仮想通貨投資にもメスが入りました。
平成31年度の税制改正の大綱にて、仮想通貨は「時価で評価する」と明記されたのです。
(2)法人税における仮想通貨の評価方法等について、次のとおり時価法を導入する等の措置を講ずる。
法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については、時価評価により評価損益を計上する。
法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益については、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上する。
仮想通貨の譲渡に係る原価の額を計算する場合における一単位当たりの帳簿価額の算出方法を移動平均法又は総平均法による原価法とし、法定算出方法を移動平均法による原価法とする。
法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上する。
その他所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について適用する。なお、同日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、会計上仮想通貨につき時価評価していない場合には、上記
及び
を適用しないことができる経過措置を講ずる。
財務省ウェブサイトより引用
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2019/31taikou_03.htm#03_08
要点をざっくりまとめると、買った時の値段と年度末の時価の評価の差額を計上するということです。
プラスになっていれば利益として、マイナスになっていれば損失として計上されます。たとえば、100万円で買った仮想通貨が年度末に時価で200万円となっていた場合は「100万円の利益ですね」とみなされるということです。
これは平成31年度4月1日以降の事業年度から適用になります。
疑問なのはこれ以前に買っているケースでしょう。その場合は「経過措置」を講じるとのこと。要するに「今は見逃しますが、今後はわかりませんよ」ということ。どういう扱いになるかは今のところ定かではありませんが、昨今の流れからするとあまりいい方向にはならない気がします。